富山県西部、能登半島の根元に位置する氷見市。
寒ブリや海越しに見える3000m級の立山連峰の絶景等、海にまつわることで知られる同市で、
ブランド化が進むのが「ひみ里山杉」。人と森にも恵まれたからこそ育まれた希代の杉です。
山、川、海、そして人。
富山の豊かな自然を守るため、森林を手入れし、資源を有効活用するために活動しています。
森林での伐採体験&見学会やお礼植樹など、親子でも参加できる行事を開催し、
次世代へとつながる、人と自然が共存できる地域環境づくりに取り組んでいます。
ひみ里山杉の歴史
加賀藩2代目藩主・前田利常は、山村における産業振興策として“加賀七木の制”を採用しました。
京都から当時のエリート杉(現在でも、成長率は4番目)を導入し、育林技術者の移入を図りました。
ひみ里山杉は、強靭さと柔軟性を併せ持ち虫害に強く、物流や漁業を支える造船用材として重宝されました。
明治時代〜
明治に入り、浅野総一郎・高峰譲吉・安田善次郎の電力振興策により、
電柱・電信柱の材料として盛んに使用され、「ボカ杉林業」の植栽体系が確立されました(林業の教科書にて奨励されました)。
現代のアグロ・フォレストリーの先駆けです。
昭和30年
木材資源利用合理化方策が閣議決定をされ、土木・建設に木材が利用されなくなりました。
その結果、植林をした杉も放置され、手入れがされなくなった森は荒れ、雪折れや風倒などの被害が多発しました。
平成24年
危機感を募らせた氷見木材組合、富山県西部森林組合氷見支所、設計事務所、工務店、氷見市などが“ひみ里山杉活用協議会”を発足させて、“ひみ里山杉のブランド化”をスタートしました。
ひみ里山杉は乾燥・薬品注入性が良く、不燃・準不燃木材として、
氷見市役所議会、JR富山駅、県立リハビリテーション病院、富山県美術館、県会議事堂などに採用されています。
平成28年からは“富山の杉活用協議会”として全県での取り組みを開始しました。
岸田木材の3つのこだわり
月齢伐採・
葉枯らし乾燥(天然乾燥)
上質な木材をつくるため、「月齢伐採」や「葉枯らし乾燥」などの方法を行なっています。このような方法で作られた建材は丈夫で腐食しにくく、建物の寿命を長持ちさせることができると言われています。
月齢伐採とは
月のリズムに合わせ、新月時に木を切る伐採方法です。木も自然のリズムの影響を受けており、月齢伐採によって切られた木は、月の満ちる時期に伐採した木と比べて丈夫で、カビに強く腐りにくい良質な木材になります。
富山県産材の活用
富山県の森林面積は県土の約67%(平成28年度統計)。しかし県産材は十分に利用されているとは言えない状況であり、森林が放置されていることがさまざまな影響を及ぼしています。
- 富山の森林の現状は?
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外国から安価な木材の輸入が増え、県産材の価格が低下し山林経営の意欲も低下。その結果、森林は手入れ不足となり荒廃していきます。
森林内は日照不足になり、木の発育不足・保水機能の低下・土壌の流出などの問題が起こります。光合成能力低下に伴い、CO2の吸収能力にも影響を及ぼします。 - 解決のためには?
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まずは、森(木)を育てることが重要です。また、森(木)を育てるには適切に手入れをし間伐を行うことが必要不可欠です。森を育て、適切に手入れをすることにより、「資源循環の構築」と、「森林整備」を実現することができるのです。
また、外国産木材を輸入するための輸送には、産地からの距離が遠いほど大量の化石燃料を必要とします。近年、CO2排出量の削減という観点からも、身近な森林の木材を利用することの重要性が高まっています。