「ヤング率とは?」「E-F表示とは?」など…
木材に関するまめ知識を集めました。
ぜひご参考になさってください。
ヤング率とは、中学校の理科で習ったバネ定数のようなもので、木材の“たわみにくさ”を表した数値のことです。
このヤング率の数値が高いほど強度があり、変形しにくい材料であるといえます。
例えば杉のヤング率が70トン/cm2(≒7GPa:ギガパスカル)の場合の70トンとは断面積1cm2の木材を“仮想的に2倍の長さに引きのばすのに必要な荷重のこと”であり、この荷重がヤング率になります。
もしくは、【図2】のように断面積1cm2、長さ10cmの木材を引っぱって、1mm(つまり、元の長さの1/100=1%)だけのばしたときの荷重を100倍したものがヤング率です。
構造用集成材(木材を特殊な接着剤で張り合わせた強度と品質の安定した材料)の品質表示マークには“強度等級 E75-F240”という表示があります。
この“E75”の“E”とは「ヤング率」を、“F240”の“F”とは「曲げ強度」を表しています。(ヤング率については「ヤング率とは?」をご参照ください。)
曲げ強度とは、木材が破壊されるまで荷重をかけたときの強さを示したものです。曲げ強度の数値が高い木材ほど破壊までに大きな力が必要であり、折れにくい木材といえます。
木のすごさの一つとして、「光合成」が挙げられます。
木は空気中の二酸化炭素と水から、太陽のエネルギーを使ってブドウ糖(グルコース)を化学工場のような大掛かりな装置を使うわけでもなく、有機物質を合成しています。
また、光合成されたブドウ糖は木材の三大成分セルロース、ヘミセルロース、リグニンの元でもあるC(炭素)、H(水素)、O(酸素)に変換させます。
その変換されたCとHとOは心材化(辺材から心材に変化するとき)に伴い防腐や防蟻に役立つ成分に合成します。
防腐薬剤のように成分の中に銅のような金属が混じっているわけではなく、すべてCとHとOだけの化合物なのです。
木には目も神経も脳もありませんが、 生存競争のために効率の悪い枝や葉を切り捨てたり、自分の体を作りかえたりするのも木のすごさの一つです。
板目板が乾燥すると木表側に凹形に反ってしまいます。
その理由は「木材の接線方向は、放射方向(半径方向)のおよそ2倍収縮するから」です。
図2のように仮に放射方向の収縮率が1.0%だとするれば接線方向は約2倍収縮するので、接線方向の収縮率が2.0%になります。
当然のことながら、収縮率の値は半円の最下部から外延部に近づくにつれて、1.0%から、1.3%、1.5%と徐々に高くなり、 最外縁部では2.0%になります。
したがって、図3にあるように板目の板であれば、どこから木取りしても木表側が必ず収縮率が高くなり、上に凹の反りが生じることになります。
要約すると、板木板が反る理由は「外縁に近いほど収縮率が高くなるから」です。
【図1】にあるように垂直に立っているのが「柱」で、屋根の斜の部分が「垂木」です。
一方、水平の部材のうち地面に近いものが「土台」で、垂木の下にあるのが「梁」です。
垂木と梁がつくる三角形の頂点には「棟」がのります。普通の和小屋では、これを支えるための束がはいります。
このように屋根の三角形が見える側を「妻」側といいますが、妻側の骨組だけでは空間ができないので、奥行き方向にこの骨組をいくつか並べます。
実はこの骨組同士をつなぐ役割をするのが「桁」です。同じように三角形の屋根の頂点をつなぐのが「棟」です。
棟は基本的に一つの構造物に対して1本しかありません。建物の数を1棟、2棟と数えるのはこのためです。
妻側とは逆に、三角形が見えない側を「平」といいます。
長方形の建物で平の側に出入り口がある場合を「平入り」、妻の側にある場合を「妻入り」と呼んで区別しています。
出入り口があるほうが建物の正面ということになります。
さらに、妻側の左右の方向を梁行(梁間方向)、同様に平の側ではそれを桁行と呼びます。
ですので、梁とは上から見て長方形の建物の短辺に使われるもの、桁とは建物の長辺に使われるものということになります。
一般的に、木材の中心に近くて色の濃い部分が心材(赤身)で、樹皮に近い色のうすい部分が辺材(白太)と呼ばれています。
両者の生理的な違いとしては、立木状態において心材ではすべての細胞が死んでいるのに対して、辺材では柔細胞(デンプン、糖類などの養分の貯蔵、配給を行う細胞)だけが生きていることです。
辺材が心材へ変化するとき、柔細胞はそれまで蓄えておいた栄養分を防腐・防菌の働きのある物質に変えてから
柔細胞は死滅します。
心材の色はこのときの働きによって合成された物質の色で、辺材よりも心材のほうが腐りにくいのは、この物質のおかげであるといわれています。
また機能面における違いでは、辺材では根から吸い上げた水が上昇しますが、心材では水の通り道が塞がれています。
なぜ樹木が自ら通り道を塞いでしまうのかというと、微生物の侵入と移動を防ぐことが大きな目的といわれていますが心材化についてはまだ解明されていないことが多いのが現状です。